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個人の時代から工房の時代へ - 2011.11.11 Fri

美術作品の制作を、個人の作品として考えて、個展を中心に展開する実践を切り開いたのは、1950年代初頭の滝口修三でした。下記はその文章です。

前衛絵画の実体       瀧口修造
 
一つの固定概念となった「モダン・アート」「アヴァギャルド」といった言葉を、概念としていかに説明し、定義し、限定してみたところで、生きた現実の作品との距離はどうすることもできない。

世間はそこにはなはだしく狡いイメージをつくり、特殊な芸術ジャンルをでっち上げてしまうだろう。重大なことはこうした漠然とした呼称以外になぜもっと生きた作品そのものによって限定しないのであろうかということである。(中略)

 アヴァン・ギャルドとかモダン・アートとかの大きな看板よりも、まず作家の芸術の存在性を問題にすべきだと思う。私はあえて存在という。名目よりも、作品がまずわれわれにつよく印象をあたえ、親しく物語らなければならない。それは持続的にわれわれを捉えてくれなければならない。そのためには個人展による以外はないであろう。集団的な大展覧会も今日の社会には重要な機能であろうが、それは個展あってのことである。最近は個展もしばしば行われるようになったが、それはまだ小品展であったりして、作家の仕事のエポックを示すようなものは極めてまれである。それも当然のことで、この頃のように数多い大展覧会の出品に追われているのでは、止むをえないであろう。しかしこれからは方向として個展を重要視しなければならないし、またそうならざるをえないだろうが、作家のエポックを示したような努力的な個展の業績に対しては、新聞も美術雑誌も、公募展に劣らぬ紙幅を割いて紹介するようにしなければならぬ。個展会場の不備も大きな障害の一つであろう。また欧米のように権威ある画商が画廊を擁して作家を世に迭るという風習も日本にはない。そうした事情が力のこもった個展の発達を阻害しているということがあるだろうが、今日の状態からみれば原因と結果は逆で、公募展の隙間のない発達は別に画商の炯眼を必要としなくなっているともいえるのである。画商は必要のあるところにいつでも現われるだろう。もしここに有力な財団があって新人のために理想的な会場を設けて個展の機会をあたえることができれば、どれだけ画壇の新風に寄与するか知れない。個展を強調したのは何も芸術の個人主義を主張したのでないことは解ってもらえると思う。新しい芸術の主張は必ず友を呼び同志を呼ぶのは自然である。その場合、必ずしも衆をたのむゆき方でなく、数名のグループによって一つの雰囲気をつくることは好もしいものであり、相互の刺戟には極めて好適の條件をつくるものではなかろうか。戦前には若い
前衛作家の小グループ展がさかんに銀座街に進出したことがあったが、それらが半ば研究展として萌芽のうちに戦争で挫折してしまったことは痛惜に堪えない。(中略)
結局前衛作家やモダン・アートの綜合展、公募展もよいが、まず一人の作家、二人の作家の作品を存在せしめよ、それらをしてつよく親しく語らしめよという極めて単純なことであった。そしてこの単純なことが、今の前衛画壇に私が最も希求していることなのである。
(『アトリヱ』一九五〇年二月号)



 しかし、今日では、個人の時代は終わって、しまっています。大量の個人主義で妄想的な人格障害のアーティストはあふれていますが、時代の先端は、昔に戻ったかのように、工房の時代になりました。

 下は、ジェフ・クーンズの工房の動画です。極めて、刺激的であります。



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New HIKOSAKA 彦坂尚嘉

Author:New HIKOSAKA 彦坂尚嘉
彦坂 尚嘉(ひこさか なおよし、1946年6月26日 - )は、 美術家。立教大学大学院特任教授。日本建築学会会員。日本ラカン協会会員。気体分子ギャラリーを主催。

【著書/出版】『反覆/新興芸術の位相』(74年、田畑書店)、『死に対抗する力』(91年、ギャラリーKURANUKI)、『リノメランコリア』(94年、岡部版画工房)、共著『リベーションの現場』(05年、彰国社)、共著『メディアと精神科医』(05年、批評社)。共著編『皇居美術館空想』(08年9月朝日新聞社)。『彦坂尚嘉のエクリチュール』(08年、三和書籍)、共著『3・11万葉集 復活の塔』(2012年、彩流社)

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