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再考:ダウンタウンのお笑いをめぐって - 2011.08.02 Tue

negaDEATHさんから、コメントをいただいた。

********************
彦坂様

ドクター中松の「ドレミの歌」は僕にはつまらない歌にしか聞こえませんでした。
松本人志の罰ゲーム企画「浜田のドレミ」の方がぜんぜん面白い!と思うのですが...

http://www.youtube.com/watch?v=lI5BnLL3FOQ&feature=related

http://www.youtube.com/watch?v=R_ss7VZ9_OQ&feature=related


松本人志について知らなかったので、おかげさまで、遅ればせながら少しですが勉強できてありがたく思っています。

今回のご指摘が面白かったのは、このダウンタウンのお笑いは《現実界》に還元しているものです。そこには意味構成がありません。ナンセンスで空無なのです。空無を喜ぶという意味では《近代》であると言えます。古い例で恐縮ですが、中里 介山作『大菩薩峠』の机竜之介とか、柴田錬三郎の眠り狂四郎とかも、基本的には《現実界》に還元されたニヒリズムの世界を描いていました。同様のことがダウンタウンのお笑いに見られたのです。

これを音楽で言うと、つまり《現実界》に還元する事で成立させる音楽がブラジル音楽のボサノヴァです。斬新で刺激的な音がちりばめられているのですが、空無なのです。



日本で例をあげると坂本龍一の音楽です。彼の音楽も《現実界》に還元されていて、意味構成が成立しない音楽です。空無なのです。



《現実界》に還元している映画も、ブラジル映画の特徴です。フェルナンド・メイレレス監督の『シティ・オブ・ゴッド』は、その代表的なものです。



この映画は、非常に斬新な映像の連続で、見ているときは驚きがありますが、見終わって何も無いのです。

ブラジルの現代美術にも同様の傾向はあって、エルネスト・ネトがその代表です。ここでも《現実界》に還元されることでの面白さと無意味さがあります。

main-540x598.jpg

時代そのものが,科学の時代になると、こうした《現実界》に還元した表現が、新しいものとして登場してくるのです。そうしたものの早い代表例は、デシャンの『泉』でありましょう。

fountain.jpg


テレビという事では、《現実界》に還元する手法のものは『リアリティTV』です。ダウンタウンのこれは『リアリティTV』の一種だと言えます。古くはどっきりカメラのようなものですが、1990年代になると『リアリティTV』が台頭します。時代背景としてはコンピューター技術が進んでデジタル時代になって、バーチャルリアリティが世界を浸すという時代の反動化で、本物に回帰しようとしたのだと思います。

リアリティ番組( - ばんぐみ、Reality television)は、素人出演者たちが直面する物語や体験を楽しめるテレビ番組のジャンル。視聴者が参加する双方向番組の一種で、1990年代末以降、世界各地のテレビを席巻する人気を博している。多くは「演技や台本ややらせのない本物の体験」であることをうたっている。
その幅は広く、視聴者参加型のクイズ番組やトーク番組・恋愛バラエティ番組から、視聴者から選ばれた代表を孤島や旅先に隔離してカメラで監視したり、毎週課題を与え最後の一人になるまで勝ち抜きさせるものまでさまざまな種類のものがある。これらの番組の多くは、固定カメラや隠しカメラ、手持ちカメラなどといったドキュメンタリー番組の撮影手法を用いて出演者に密着し、独特の臨場感を視聴者に与え、撮影対象となる出演者のドラマを「本物らしく」見せてしまうことに成功している。
番組の焦点は、参加している素人同士のメロドラマ的人間関係や恋愛・苦闘であり、視聴者はこれを楽しむだけでなく電話投票などで彼らに対し審判を下すこともある。情報出典:WIKI


長くなったので、この辺で止めますが、こよりでくしゃみを採取する所も含めて『リアリティTV』は、私には、バーチャルリアリティの時代の反動に過ぎなくて、面白いものではありません。ただ、面白くないという私に対して、「古いからだ」という批判を言う事はできます。

問題は《現実界》に還元する作品、美術で一番私が好きなのは、溶けた鉛を、壁に柄杓で投げたセラの作品です。これが1969年前後だと思います。ですから、こういう作品自体を自分もですが作ってきていますし、作りたい気持ちは分かるし、それを面白いという気持ちも分からないというものではありません。ここまでは、《現実界》に還元する事は、反動ではなかったのです。《近代》の極限の世界だったのです。



それに対してドクター中松の笑いは、《象徴界》の笑いなのです。

君が代は、酸っぱいキッチュですが、ドレミの歌は、甘いキッチュです。

意味構成するのは、《象徴界》だけですので、ここでの笑いは、一応、私には面白く感じるのです。ドクター中松のドレミの歌をつまらないと批判する気持ちは分かりますが、それでも私には面白いのです。《象徴界》というのも、実は古いので、この笑いも反動ではないのか? という批判も成立しない訳ではありません。

ともあれ、ネガデスさんには、感謝します。ダウンタウンや松本人志の笑いの一面を学習する事ができました。
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● COMMENT ●

彦坂様

記事で取り上げて頂き感謝致します。

ご指摘のように、松本人志はシュールでナンセンスな笑いを追求した芸人と言えます。
アメリカのスタンダップコメディのような意味構成がありません、破綻しています。
このような破綻した無意味性の笑いは、世界ではまったく通用するものではありません。

しかしその破綻が、刺激と新しさを求める90年代の日本の若者には大変面白かったのだと思います。
着崩しのファッションとしての新しさ、不良性、アイデンティティーが松本の笑いにはありました。

例えばヒップホップ・ファッションの中で「帽子をどう被ったらカッコいいか?」という事があり、斜めに被ってみたり、少し浮かせて被ってみたり、その時代ごとに変化していくのですが、このようなストリートカルチャーの発展の仕方に、何の意味も面白さも感じない人間が世の中の大多数である事は理解出来ます。松本の笑いも、多くの人間にとって意味の無いもの、空無な事であり、賞賛に値しない活動でありました。

ドクター中松を面白く無いと判断したのは、萩本欽一やザ・ドリフターズから起こる、日本のお笑い文化の文脈に当てはめて考えた場合に既に古いからであります。しかし美術家の彦坂さんが3.11以後の今日にドクター中松のつまらない歌を記事で取り上げた事を不思議に感じ、コメントさせて頂いた次第です。何故面白いのか?言語判定法では示されていましたが、我々一般読者からするともう少し解りやすい説明が欲しかったのです。


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New HIKOSAKA 彦坂尚嘉

Author:New HIKOSAKA 彦坂尚嘉
彦坂 尚嘉(ひこさか なおよし、1946年6月26日 - )は、 美術家。立教大学大学院特任教授。日本建築学会会員。日本ラカン協会会員。気体分子ギャラリーを主催。

【著書/出版】『反覆/新興芸術の位相』(74年、田畑書店)、『死に対抗する力』(91年、ギャラリーKURANUKI)、『リノメランコリア』(94年、岡部版画工房)、共著『リベーションの現場』(05年、彰国社)、共著『メディアと精神科医』(05年、批評社)。共著編『皇居美術館空想』(08年9月朝日新聞社)。『彦坂尚嘉のエクリチュール』(08年、三和書籍)、共著『3・11万葉集 復活の塔』(2012年、彩流社)

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