topimage

2017-07

スポンサーサイト - --.--.-- --

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

SPK/《現実界》に還元した音楽について - 2012.04.28 Sat

《現実界》に還元した音楽について


笹山直規さんことnegaDEATH13さんから、次の様なコメントをいただいた。


以前もご紹介しましたが、SPKは如何ですか?

(ヴォルフガング·フォイクトに関するブログ)で紹介されているような、
繰り返しの音楽ではありますが、
人間の深い内部を探求した下品さ、おぞましさがあり、
私個人はデザインではなく、芸術音楽だと思っています。

バンド自体は精神疾患者だった片方が自殺して、
事実上は解散しています。



【続きは下記Read Moreをクリックしてください。】


SPKの音楽は、ネガデスさんがおっしゃるように《真性の芸術》です。

《原芸術》《芸術》《反芸術》《非芸術》《無芸術》《形骸》《炎上》《崩壊》の概念梯子があります。
しかし、もちろん《世間体のアート》はありません。

ネガデスさんのご指摘のように、ヴォルフガング·フォイクトのミニマルミュージックの風化形態の音楽と同様に、繰り返しの音楽ではありますが、ミニマルミュージックとは枝分かれした別の音楽です。

1963年に始まるミニマルミュージックのテリー・ライリーやスティーヴ・ライヒの音楽には、機械音の反復の系譜は無いと思います。

実際、ライリーやライヒの反復音楽は、《象徴界》だけの音楽であって、それはジャッドの立体作品が、《象徴界》だけの作品であることと、対応しています。


テリー・ライリー 《象徴界》だけの音楽

13-2.jpg
ドナルド・ジャッド 《象徴界》だけの美術


それに対して、1977年スロービンググリッスルに始まるインダストリアル・ミュージックの系譜は、機械音の系譜で、《現実界》だけに還元した音楽です。

私見を申し上げれば、『美術の3万年』という本で見ていくと、《現実界》の出現は、鎌倉時代の運慶の彫刻や、源頼朝像など鎌倉美術が世界で早いほうです。

これは禅宗と武士集団を背景にした《現実界》の出現ですので、禅宗という意味では中国の美術が早い可能性もあります。しかし李郭系山水画には、《想像界》《象徴界》だけで、《現実界》は出現していません。

ヨーロッパで見ると、ルネッサンスのドナテロの彫刻や、レオナルド・ダ・ヴィンチや、ラファエロの絵画には《現実界》が出現しています。しかしこうした《現実界》の出現は、あくまでも《想像界》《象徴界》《現実界》の3界が同時に絡み合って出現しているのです。

科学が主導する18世紀以降になると、《現実界》そのものが、単独で分離して出現してくるようになります。

念のためにお断りしておくと、この《現実界》という言葉はジャック・ラカンの用語ですが、彦坂尚嘉の使い方は、ラカンとは、かなり違ってきています。

ジジェクの《現実界》の用法には、彦坂は批判的ですので、このジジェクとも大きく違うということを、彦坂が自覚して使っているということをご了解いただきたく思います。彦坂の場合には、あくまでも言語判定法による測定を基礎に使用しています。

言語判定法の測定をしていくと、ジェーム・スワットの蒸気機関に《現実界》だけの出現が見られます。つまり蒸気機関を発明して起きる産業革命が、《現実界》だけの機械を出現させるのです。

steam_engine.jpg
ワットの蒸気機関 1776年 《現実界》だけの制作物

さて、問題なのは、この蒸気機関や、機関車は、《現実界》だけの制作物=人工物なのですが、その蒸気機関車の音が、《現実界》の音であるかというと、そうでは無いのです。蒸気機関車は《想像界》の音です。


蒸気機関車の音は、《想像界》の音

なぜ、蒸気機関車の音は、《現実界》の音では無いのか?

これはラカンの語った《現実界》ということが、日常語の「現実」という意味ではないと言うことと、日常用語の「現実」という言葉が指し示すものは、ほぼ全部が《想像界》に属するものであるからです。

彦坂から見ると、ジジェクの使う《現実界》という言葉は、日常語の「現実」と言う語と混濁しています。

未来派のルイージ・ルッソロの《騒音音楽》というコンセプトには、その先駆性が無いわけでは有りませんが、聞く限りは《想像界》の音楽に留まっています。


ルイージ・ルッソロの《騒音音楽》は《想像界》の音楽

つまり《現実界》だけの音楽に還元するのは、事実としての騒音や機械音だけでは無理なのです。精神としての《現実界》だけの分離が必要です。


音楽で、《現実界》の音が出現したのは、ですからダダからであると言えます。
とりあえず、クルト・シュヴィッタースのサウンド・クリップには《現実界》が出現しています。


シュヴィッタースのサウンド・クリップは《現実界》だけの音

未来派の中から、もう一人登場するのがエドガー・ヴァレーズです。フランス生まれで、アメリカに帰化した作曲家です。1920年の『アメリカ』は、その打楽器を多用した音楽は、《現実界》だけの音楽に至り着いています。ただ『アメリカ』はしかし分かりにくい音楽なので、、もう少し分かりやすい彼の音楽を紹介しておきます。


エドガー・ヴァレーズは《現実界》だけの音楽


音楽史の中で、《現実界》だけの音楽が明確に出現するのは、1940年からの、ピエール・シェフェールのミュージック・コンクレートです。


ピエール・シェフェールのミュージック・コンクレートは《現実界》だけの音楽

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ロックの中に出現してくるのは、私の知っている限りでは、キャプテン・ビーフハートです。


キャプテン・ビーフハートTrout Mask Replicaは《現実界》の音楽


もうひとつ忘れてはならないのは、ロスアンジェルス・フリー・ミュジック・ソサエティです。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


SPKの音楽に話を戻すと、このタイプの音楽は、インダストリアル・ミュージックとよばれました。SPKの音楽に詳細な分析をする手間をかけるかどうかは迷いますが、格付け的には《第41~50次元》の音楽で、まあ、やくざ映画のような音楽と言えます。




音的には、似たようなインダストリア・ルミュージックとよばれた音楽としては、スロッビング・グリッスルがあって、すでに述べたように1977が最初ですが、こちらの方が、面白かったです。格付け的には《超次元》~《第163万8400次元》までありました。音楽の厚みが違います。






スポンサーサイト

● COMMENT ●

とても勉強になりました、
ありがとうございます。

《現実界》の音楽は、
どれも心に突き刺さってくるような不快感がありますね。
以前拝見させて頂いた、糸崎さんの新作写真にも同様の感覚を覚えました。


nurse with wound

こんばんわ。nurse with woundというノイズの評価もお願いできませんか?


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://kb6400.blog38.fc2.com/tb.php/488-ec1dfdbd
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

We Were Soldiers «  | BLOG TOP |  » ヴォルフガング·フォイクト/勇ましい新たな単調さ

ブロマガ

月刊ブロマガ価格:¥ 6400

紹介文:

ブロマガ記事一覧

ブロマガを購入する

購入したコンテンツは、期限なしに閲覧いただけます。

プロフィール

New HIKOSAKA 彦坂尚嘉

Author:New HIKOSAKA 彦坂尚嘉
彦坂 尚嘉(ひこさか なおよし、1946年6月26日 - )は、 美術家。立教大学大学院特任教授。日本建築学会会員。日本ラカン協会会員。気体分子ギャラリーを主催。

【著書/出版】『反覆/新興芸術の位相』(74年、田畑書店)、『死に対抗する力』(91年、ギャラリーKURANUKI)、『リノメランコリア』(94年、岡部版画工房)、共著『リベーションの現場』(05年、彰国社)、共著『メディアと精神科医』(05年、批評社)。共著編『皇居美術館空想』(08年9月朝日新聞社)。『彦坂尚嘉のエクリチュール』(08年、三和書籍)、共著『3・11万葉集 復活の塔』(2012年、彩流社)

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (85)
6次元アートの限界 (0)
ポストモダンのアメリカ美術 (11)
気体分子ギャラリー (34)
アートスタディーズ163万8400次元 (97)
映画 (31)
日記 (54)
音楽 (84)
海外の《超次元》アーティスト (4)
訃報 (4)
《第6400次元》真性の芸術 (5)
喜劇 (3)
彦坂尚嘉 の作品 (15)
状況と変動 (134)
告知 (81)
作品の発表 (6)
美術系ラジオ (33)
顔 (6)
人間の研究 (35)
芸術分析 (22)
皇居美術館 (0)
自殺 (2)
アニメーション (2)
味覚 (0)
歴史 (3)
復刻:『美術評論』 (1)
独裁者 (1)
第51200次元 (1)
建築系美術ラジオ/建築系美術ラジオ (3)
建築 (6)
美術テレビジョン (4)
オークション (53)
ギャラリーショップ (0)
ウェブショップ (1)
絵画論 (3)
固体の美術 (1)
特上のラップ (3)
異端美術研究会 (1)
アート論 (3)
反復-2007 (0)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。