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彦坂尚嘉の中国西安旅行3/《想像界》だけの人について - 2012.12.22 Sat

《想像界》だけの人について

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本を読むのが好きな人がいる。その代表の一人はアフガニスタン軍の大将で、ソ連軍の大規模攻撃をも撃退し「パンジシールの獅子」と呼ばれたアフマド・シャー・マスードだろう。読書に対する執着ぶりはすごくて、1日の睡眠時間はおよそ2時間程度で、約3000冊を蔵書していたというから、軍事というものが読書の上に築かれているということの奇妙さを思わせる。

一方で、読書の意味を全く認めない人々がいる。このタイプの日本人は多く知っているが、それは等身大で生きていて、直接的な感覚世界を基盤におく人々である。読書をしないという事は、他人の経験や他人の思考を学び吸収しないだけではなくて、文字によって世界をトレースするという識字(リテラシー)の意味を理解していないのである。この人々は《想像界》だけの精神性しか無い。

識字化というのは、警察の調書に似ている。殺人事件があると、その容疑者を尋問して、調書を取って書き文字にしていく。現実にあった殺人事件の様子や経緯が文字に置き換えられて、その文字を介して検事や裁判官は判断をして行く。このように、人間が経験や思考を書き文字にして記録をつくり、それで判断して行くという構造が、人間が文明化するという事であった。


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中国に来て、たかが知れた量だが、中国人の顔を見て、彦坂尚嘉の芸術分析で人格を見て行くと、《想像界》だけの人々の量が圧倒的に多いのだ。その一方で、たとえば中国銀行に行って円を元に両替したのだが、その時の担当の若い男性は、《想像界》《象徴界》《現実界》と3界をもっていた。ただし《サントーム》は持っていないので、本当の意味での近代人ではない。この銀行員に限らず、日本の銀行員もまた、こうした3界は持っていて、その意味で、ラカンが言う精神をもつ人間なのであるが、それは多分銀行員の就職試験に合格するための試験勉強を経ていることが大きいのだろう。

本を読む事が重要だと言うのは、中国の官僚試験の科挙制度の中で異常発達をとげていた。「ただ読書のみが尊く、それ以外は全て卑しい」という考えになって、官僚になっても、国民の生活に実際に役に立つ経済政策や治山治水などの土木工事には無知無能であるという状態になったという。アフガンの将軍フマド・シャー・マスードは、本も読むが現実の軍事行動でも勝利するすぐれた人物だったが、それとは対照的で、現実に有効性を持たない読書家の輩出は、中国社会を衰弱させていった。

科挙制度というのは、競争率が3000倍にもなった試験制度だから、科挙に合格するためには、幼い頃より学問のみに専念できる環境と、高名な学者へ入門する費用や、高価な書物を多数購入する経済力が必要であった。したがって試験を受けられるのは富裕階級に限られていたのである。つまり本を読むという事自体が、富裕階級の特権であり、そしてまた本を読む事で科挙によって官僚になる事で、地位と権力を得て、結果として大きな富を得ていた。こういうシステムは、今日の中国共産党の支配でも変わらないわけであって、共産党員が国家官僚になる事で、大きな富を独占しているのである。

中国社会は、もともとは貴族として生まれた者たちが高い地位を独占し、それは同時に富の独占であった。つまり本を読むという事による知識や教養の独占は、貴族によって行われていたわけで、この貴族の独占を解体して広く開いたのが科挙制度で、これが実際に機能し始めるのが、北宋の時代からであったのだが、これも興味深い事である。なぜなら、中国絵画で一番偉大なのはこの北宋だからである。とは言っても、貴族の独占から解放されても、その結果は既に述べたように科挙試験に合格するのは試験勉強をできる富裕層に限られてた。そういうシステムは実は現在の日本の試験制度にもあるわけであって、何も変わっていないと言える。ほぼ同様のシステムは欧米に上流階級にも言えるわけであって、実は《象徴界》をもった人格の形成自体が、こうした富裕性と結びついた階級制にあるのであった。

本と言っても、《想像界》だけで書かれた分かりやすい本は、実は駄本で、詐欺のようなものである。あらゆる入門書は、実は《象徴界》の形成に役に立たない。《象徴界》を作り出すためには、文明の初期古典を読む事が重要である、難しそうに思うけれども、初期の仏典とか、ギリシア哲学、中国の諸子百家は、人間が《象徴界》で考え始めた初期のものだから、やさしく読みやすい。これを実際に読むといかに精神が変わるかは、友人で実例を見てきている。
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>文字に置き換えられて、

言語について
言語というのは人それぞれに違う意味で使っています。しかし言葉には「本当の意味」が存在します。ほとんどの人は言語の持つ本当のイメージを読み取れずに言語を使っています。そういうほとんどの人たちとは「本当の話し」はできないです。そういう人とは「くだらない話し」しかできないです。


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New HIKOSAKA 彦坂尚嘉

Author:New HIKOSAKA 彦坂尚嘉
彦坂 尚嘉(ひこさか なおよし、1946年6月26日 - )は、 美術家。立教大学大学院特任教授。日本建築学会会員。日本ラカン協会会員。気体分子ギャラリーを主催。

【著書/出版】『反覆/新興芸術の位相』(74年、田畑書店)、『死に対抗する力』(91年、ギャラリーKURANUKI)、『リノメランコリア』(94年、岡部版画工房)、共著『リベーションの現場』(05年、彰国社)、共著『メディアと精神科医』(05年、批評社)。共著編『皇居美術館空想』(08年9月朝日新聞社)。『彦坂尚嘉のエクリチュール』(08年、三和書籍)、共著『3・11万葉集 復活の塔』(2012年、彩流社)

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