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芸術を理解しない人々 - 2013.01.25 Fri

ある寒い1月の朝、一人の男がワシントンD.C.の駅で座りながらバイオリンを弾き始めました。彼はバッハの曲を1時間程演奏しました。その時間帯は通勤ラッシュだったため、約1100人がその男の前を通りました。

3分後、ある中年の男はバイオリンを弾いている人がいると気づき、足を止めました。しかし、結局止まったのはほんの僅かな時間で、数秒後にはその場を離れました。

1分後、バイオリニストはやっとお金を稼ぐことができました。ある女性がケースに1ドル札を投げ入れましたが、彼女は止まることなく歩き続けました。

少しした後、壁に寄りかかって彼の音楽を聴く者が現れましたが、腕時計を見るとすぐに歩き始めました。会社に遅刻しそうだったのです。

一番彼の音楽が気になったのは、3歳の男の子でした。彼のお母さんは急いでいて、男の子の腕を強く引っ張りました。それでも男の子はバイオリニストを聞こうと足を止めます。お母さんは男の子の背中を強く押し、無理やり歩かせました。それでも男の子はずっと後ろのバイオリニストを見ながら去って行きました。他の子供も同様でしたが、親は全員例外なく止まることなくその場を去りました。

彼が演奏した一時間内で、足を止めて彼のバイオリンを聞いたのはたった6人でした。お金を入れてくれたのは20人程でしたが、止まった人は誰もいませんでした。稼いだお金はたったの32ドル。彼が演奏をやめ、駅が沈黙に包まれた時、気付いた人は誰一人いません。拍手はなく、このバイオリニストを認める人はいなかったのです。

バイオリニストの名前はジョシュア・ベル。彼は世界で最も才能のあるミュージシャンの一人です。彼はたった今、歴史に残る傑作を演奏したのです。それも3億円のバイオリンを使って。

彼の駅での演奏の二日前、彼のボストンでのコンサートのチケットは、一枚一万円するものの全て売り切れました。

これは実際にあった話です。ジョシュア・ベルが素性を明かさず行ったこの演奏は、人々の視覚・嗜好・優先順位を研究するための実験としてワシントン・ポスト紙によって行われました。私たちは本当に「美しさ」を理解しているのだろうか?それをちゃんと足を止めて味わっているのだろうか?予想していない状況でも、才能を感じ取ることはできるのだろうか?

一つ結論として言えるのは、

もし私達は世界で最も才能のあるミュージシャンが、歴史上一番の傑作を演奏してさえ気付かないのであれば、私達は他にもきっと多くの「美しいもの」を見過ごしているのではないか?

【続きは下記Read Moreをクリックしてください。】
     面白い実験ですね。人々は芸術を理解しないのです。

私も、社会人というのは、芸術は理解できないと思っています。

社会の人々は誤解していて、社会が必要としているのは《ライト-アート》です。

このことに気がつくまで私は多くの時間を費やしました。確信を持ったのはポロック展でした。それまでグリンバーグはポロックの《ヘビー・アート》の芸術を理解していると思い込んでいたのですが、あの展覧会で詳細に見ると、グリンバーグは、ポロックの《ヘビー・アート》を理解できていません。そうすると、実はグリンバーグの押したカラー・フィールド・ペインティングが《ライト-アート》に過ぎないということとの連続性が見えて、腑に落ちるのです。

個人は《真性の芸術》を理解する可能性がありますが、美術評論家などを含めて社会のポジショニングを持つ社会人というものは、原理的に芸術を理解しないで、教養主義的に芸術を規定してしか理解しないのです。教養主義的な理解は、芸術を真には理解できていません。芸術の専門家も含めて、多くの人が《真性の芸術》を理解できないし、実は理解したいは思わない。

 つまり多くの人は芸術を理解したくないと言うことが、実は重要な事です。その事を事実として認めるところから出発する議論を、少数の人々の中で話し合いたいものです。しかしこのささやかな望みすらが実は難しいのです。こうした困難さは、実は芸術だけでは無くて、料理の味覚でも、哲学や思想でも、武道でも、そしてIT技術にも言えることであって、人間の文化の最深部は、多くの人には理解できないのです。

 ならばどうするのか?
 
 理解されるところだけで書いたり、話したりするというのが一つの態度です。それに対してジャック・ラカンはわかりやすさに対して極めて注意深い態度をとります。最終的に聴衆のいない演奏とか、鑑賞者のいない美術作品とか、だれも理解できない論文というものの存在をどう考えるかが問われるのです。私は、人間の文化の本質は伝達不可能性を持っているものであると思います。
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New HIKOSAKA 彦坂尚嘉

Author:New HIKOSAKA 彦坂尚嘉
彦坂 尚嘉(ひこさか なおよし、1946年6月26日 - )は、 美術家。立教大学大学院特任教授。日本建築学会会員。日本ラカン協会会員。気体分子ギャラリーを主催。

【著書/出版】『反覆/新興芸術の位相』(74年、田畑書店)、『死に対抗する力』(91年、ギャラリーKURANUKI)、『リノメランコリア』(94年、岡部版画工房)、共著『リベーションの現場』(05年、彰国社)、共著『メディアと精神科医』(05年、批評社)。共著編『皇居美術館空想』(08年9月朝日新聞社)。『彦坂尚嘉のエクリチュール』(08年、三和書籍)、共著『3・11万葉集 復活の塔』(2012年、彩流社)

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